検索について その2
前週より、「検索」をテーマにお送りしている、
「学術情報マメ知識」。
今回は、医学文献を検索する際の
定番データベース、
「PubMed」と「医中誌WEB」の
特徴やあゆみをご紹介いたします!
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┃◆ PubMedと医中誌WEB
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【PubMed】
PubMedは世界中の人々から広く利用されており、
今や、1ヶ月あたりの検索回数は、
7,000万〜8,000万回にのぼるそうです。
実は、アメリカ以外で、
PubMedへのアクセス数が最も多い国は、
日本とのことです。
<PubMedの概要>
ここで、簡単にPubMedの概要をご紹介いたします。
・収載誌…世界各国約5200誌
・収録件数…1600万件以上
・収録年代…1949年〜
・収録分野…医学全般、歯科学、看護学
PubMedに収録されているデータには、
検索の利便性のために、
MeSH(Medical Subject Headings)という
キーワード(統制語)が付けられています。
▼統制語については、前回の学術情報マメ知識を参照してください▼
http://www.inforesta.com/content02/2009/07/post-2.html?we4
検索講習会などで、
「PubMedで日本語の論文は調べることができるのですか?」
というご質問をよくいただきますが、
もちろん調べることが出来ます。
但し、PubMedに収録されている日本の雑誌は、
有名な(メジャーな)ものしか入っていませんので、
日本の論文を探すのは、後に説明する
医中誌WEBが向いているといえます。
<PubMedの歴史>
PubMedの歴史は、実はとても古く、
1964年にまで遡ることができます。
当時、NLM(米国国立医学図書館)が構築した
「MEDLARS」というデータベースがその原型です。
1971年に、この「MEDLARS」が
「MEDLINE(MEDLARS ONLINE)」の名前で、
オンラインで公開され、1986年には、
(有料の登録が必要でしたが)設備さえあれば、
世界中から、誰もがアクセス出来るようになりました。
そして、1997年、クリントン政権の頃に、
「MEDLINE」がインターネットで無料で検索できる
システムが公開されました。
それが、「PubMed」です。
「PubMed」の歴史自体は約10年と、
そんなに長くはありませんが、
その成立過程をたどっていくと、
約40年もの歴史の積み重ねがあるんですね。
【医中誌WEB】
海外文献といえば「PubMed」ですが、
日本語文献といえば「医中誌WEB」
という方も多いかと思います。
実は、医中誌WEBは内容も検索方法も、
PubMedに準拠して作られています。
(全く同じというわけではありませんが。)
<医中誌WEBの概要>
医中誌WEBの概要を簡単にご説明すると、
以下のようになります。
・収載誌…約5000誌
・収録件数…684万件
・収録年代…1983年〜
医中誌に収録されているデータにも、
PubMedと同じく「統制語」(シソーラス用語)が
付与されています。
実は、医中誌WEBに収録されているデータに付与される
アブストラクトや統制語などは、
その多くが、人手によって付与されています。
多くの方が、収録データは
自動で登録されていると
考えていらっしゃると思いますが、
医中誌WEBのクオリティを保つためには、
どうしても、専門のスタッフによる
人手の作業が必要とのことです。
また、PubMedが学会抄録(会議録)を
収載していないのに対し、
医中誌WEBは学会抄録が収載されているのが、
大きな特徴です。
<医中誌の歴史>
医中誌の歴史は、PubMedよりも更に古く、
明治時代にまで遡ることが出来ます。
市井の開業医であった、
尼子四郎氏が我が国の医学の発展を願って
1903年に刊行した
国内医学雑誌の抄録誌「医学中央雑誌」が
その起源となります。
(参考:医学中央雑誌刊行会ホームページ
「医学中央雑誌刊行会について」)
http://www.jamas.or.jp/about/index.html
「医学中央雑誌」は、その後、巻を重ね、
1992年にはCD-ROM版による提供を開始し、
2000年には、「医中誌WEB」サービスを
開始しています。
このように、医中誌WEBは、
その起源をたどると、何と、
約100年もの歩みがあるんですね。
(つづく)
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以上のように…
PubMed及び医中誌WEB、
それぞれの特徴を活かし、
上手に活用することができれば、
世界各国の論文を洩れなく
収集することができます。
次週も「検索」をテーマに、
学術情報マメ知識をお送りします!
ご期待ください!
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メール配信日:2009年7月23日