文献について その1(原著論文、レビュー論文、学会抄録)
いつもご利用いただき誠にありがとうございます。
医学論文の検索・複写の(株)インフォレスタです。
さて今回は、
・原著論文
・レビュー論文
・学会抄録(会議録)
について、それぞれの特徴をご紹介します!
特徴をふまえて、日々の活動にお役立てください!
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原著論文
皆さんが最も多く手にしていると思われる論文が「原著論文」です。
一般に論文と呼ばれるものの多くは、この原著論文を指しています。
掲載される媒体は主に学術雑誌です。
原著論文は、限られた字数の中に著者のオリジナリティを盛り込むと共に、
以下の内容を記載しなければなりません。
<目的:object>---研究の目的や背景
<手法:method>---どのような手法・方法を用いて調査・実験を行ったか
<結果・結論:result, outcome, conclusion>---調査・実験の結果を踏まえて著者が下した結論・見解
これらの言葉が本文に見られたら、それは原著論文です。
原著論文は、研究者の間では『情報を共有する』という重要な役割を担っています。
また、学術雑誌に論文が掲載されるまでには、
多くの場合、査読という審査制度を通過しなければなりません。
査読は、研究者間に流通する情報のクオリティを保つという役割を担っています。
質が高く、オリジナル性のある情報に触れることができるのが原著論文の特徴です。
レビュー論文
続いて、複数の原著論文をもとにひとつの論文を書き上げる『レビュー論文』。
総説論文とも言われます。
レビュー論文は、ある分野やテーマに関わる原著論文を漏れなく収集し、
それらを要約したうえで、問題の整理や評価を行うことを目的とした論文です。
学生の皆さんは、卒論を執筆するとき指導教授から、
「自分が取り組むテーマについて、今までどんな研究がなされているか必ず調べなさい」
といわれると思います。
そんなときに、特定の領域を俯瞰した内容となるレビュー論文が役に立ちます。
ただ、卒論自体をレビュー論文のような構成にするのは理想的ではありません。
レビューする人が変わっただけで、内容としてはどうしても似てしまうからです。
教授の判断にもよりますが、卒論は、オリジナリティ勝負の原著論文として執筆することを目指しましょう!
学会抄録(会議録)
最後は、何かと便利な学会抄録(会議録)について。
約200〜300語以内で、研究の目的、研究方法、結果、結論を簡潔かつ的確にまとめたものです。
少ない字数で研究内容をまとめなければならないので、実は、高度な文章力が要求されます。
学会抄録(会議録)の多くは、学会における発表の予稿です。
ある分野の研究動向をチェックしたり、参加出来なかった学会の概要をつかむのに、とても便利です。
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ここまで読んでくださった方の中には、データベースを使って論文を探す方もいると思います。
そこで最後に、医学論文を探すときによく使われるデータベース「PubMed」で、
論文のタイプを確認する方法をお知らせしておしまいにします。
論文タイプの見分け方
2020年になって、PubMedのインターフェースが大きく刷新され、
検索結果一覧に論文のタイプが表示されるようになりました。
また、論文の詳細画面の下部には「Publication Types」という項目があります。
PubMedにおける、主な論文タイプは以下のとおりです。
論文によって、複数のタイプが付与されていることもあります。
Journal Article…雑誌記事/原著論文
Review…レビュー論文
Letter…レター記事/速報
Clinical Trials…臨床試験
Case Reports…症例報告
Controlled Clinical Trial…比較臨床試験
Randomized Controlled Trial…ランダム化比較試験
Meta-Analysis…メタアナリシス
Guideline…ガイドライン
Practice Guideline…診療ガイドライン
特定の論文タイプに絞り込んで検索したい場合は、タグを使いましょう。
PubMedで論文タイプを表すタグは[PT]です。
たとえば、レビュー論文に絞って検索したい場合は、
キーワードと一緒に“Review”[PT]と書いて検索すればOKです。
そのほかのタグについて知りたい方は、こちらをご覧ください。